ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「だったら私も。ダンスホールで康惺さんだけ格好いいなんて、ずるいので」

どんな対抗意識だ、と呆れて笑みをこぼす。なかなか強情な女性である。

「……ダンスでも資格の勉強でも、なんでも付き合うよ」

観念すると、彼女は「やった! よろしくお願いしますね」とどこか楽しそうにバスルームに入っていった。

無邪気で、強情だが素直。そして努力家。

……十六も年下の女性に本気で絆されるとは。みっともないことこの上ないな。

成人しているとはいえ二十歳そこらの女性なんて、自分から見れば子どもと同然、守るべき対象だと思っていた。

それが、いつの間にか女性として求めてしまっている。

彼女がまだ知らない言葉を使って、駆け引きをして、無垢な心を引き寄せ縫い留める。そんな大人げない自分が卑劣とすら思えてくる。

それでも、手を離したくないと感じてしまう。

「外道だな……」

自身への落胆は、静まり返った部屋に驚くほど響いた。




庭園でのカジュアルな昼食会に参加したあと、俺たちは箕山邸をあとにした。

「なんだか慌ただしかったですね」

「まったくだ」

< 163 / 257 >

この作品をシェア

pagetop