ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
言葉通りげんなりとした顔で運転する俺。助手席に座る涼羽は、喉元過ぎれば熱さを忘れるといった様子でどこか清々しい。本当にタフなヤツだなと感心する。

「ちょっとはわかったか? 俺が跡継ぎにはなりたくないって言った理由」

「確かに大変そうではありましたけど」

彼女がうーんと腕を組んで考え込む。

「でもその割には、跡継ぎとしての役目を完璧にこなしていましたよね?」

「やりたいかとやるかは別問題だ」

「そういうとこ、なんかずるいですよね」

「なにがだ?」

「なんていうか、できるのにやらないって贅沢だなって。器用で羨ましいというか」

同じような言葉を惺也からかけられたのを思い出し、苦い心地になる。

俺が不機嫌になったと思ったのか、彼女は「あの、いやみとかじゃないんですがっ」とまくし立ててきた。

「康惺さんが努力してないとか、そういうふうに思っているわけじゃないんです。ただそれを感じさせないというか。全部、卒なくこなすので」

「努力してないかもしれないぞー」

「だから、そういうところですって」

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