ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
彼女の頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でると、「ひゃあっ」という色気もへったくれもない声があがった。
「ちゃんと前見てください!」
「見てるよ」
くだらないやり取りを交わしながら、俺たちはペントハウスに向けて車を走らせた。
十二月も中旬に差し掛かり、ルーフバルコニーでの喫煙がつらくなってきた。
昨夜も彼女と愛し合ったあとバルコニーに出たが、上着を羽織ったとしても長居できる気温ではなかった。
冷え切った体でベッドに入り、彼女に冷たい思いをさせるのも気が引けて、一本吸ったところで切り上げた。せめて三本は吸わせてほしかった。不完全燃焼だ。
次からは喫煙用にダウンジャケットを用意しておこう。
そんな経緯があって寝つきがイマイチなこの日。
専務応接室で迎えたのは、資産家であり『みなも銀行』の元常務・山崎氏だ。
御年七十二歳。古くから舘華興産の資金繰りを支えてきた人で、とにかく顔が広い。
トラブルがあればまず彼にお伺いを立てる、そういう立場の人物だ。
「先週末は箕山さんのところに行ったそうじゃないか」
振るう権力とは裏腹に、本人は朗らかなおじいちゃんといった印象だ。
「ちゃんと前見てください!」
「見てるよ」
くだらないやり取りを交わしながら、俺たちはペントハウスに向けて車を走らせた。
十二月も中旬に差し掛かり、ルーフバルコニーでの喫煙がつらくなってきた。
昨夜も彼女と愛し合ったあとバルコニーに出たが、上着を羽織ったとしても長居できる気温ではなかった。
冷え切った体でベッドに入り、彼女に冷たい思いをさせるのも気が引けて、一本吸ったところで切り上げた。せめて三本は吸わせてほしかった。不完全燃焼だ。
次からは喫煙用にダウンジャケットを用意しておこう。
そんな経緯があって寝つきがイマイチなこの日。
専務応接室で迎えたのは、資産家であり『みなも銀行』の元常務・山崎氏だ。
御年七十二歳。古くから舘華興産の資金繰りを支えてきた人で、とにかく顔が広い。
トラブルがあればまず彼にお伺いを立てる、そういう立場の人物だ。
「先週末は箕山さんのところに行ったそうじゃないか」
振るう権力とは裏腹に、本人は朗らかなおじいちゃんといった印象だ。