ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
リビングの端には階段があって、二階に続いている。一軒家と見間違う贅沢な間取りだ。

掃き出し窓からルーフバルコニーに繋がっていて、その向こうに都心の夜景が見えなかったら、ここが最上階だと忘れてしまいそうだ。

「ずっとここに、ひとりで住んでいるんですか?」

ひとりで暮らすには広すぎるが、モデルルームにようにシンプルなこの部屋には、誰かと暮らしている痕跡もない。

「マンションが完成した五年前からだ。いつ実家を出たのかって意味なら、働き始めてすぐだな」

「長男なのに家を出たんですね」

「あの家にいたいと思うか?」

ご当主を思い出し、押し黙った。毎日あの人と顔を合わせるくらいなら、そりゃあ自立した方がマシだ。

「家を出たあとも戻って跡を継げとうるさかったから、いっそマンションごと建ててテッペンに移り住んでやったら多少はマシになった。ここは舘華興産(うち)の持ち物だから、掌中に置いたつもりでいるんだろう」

「そう……ですか」

……まさか跡継ぎから逃げるために都市開発したんじゃないわよね?

どこまで本気でどこまで冗談か、よくわからない人だ。

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