ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
現状を俯瞰し、経済の流れや経営の先を読む力――これを〝舘華家の当主たる証〟だと親父は呼んでいるが、惺也にはそれがない。

「一般人には無理でしょう。その流れを感じ取れるのは専務と社長くらいのものです。経営会議に出ると、たまにおふたりが宇宙語で話しているのではないかと思うときがあります」

「でも、野口は気づいたじゃないか、この地域が危ないって。だから報告してくれたんだろ?」

「以前、専務がおっしゃっていたことを覚えていただけです。白嶺には手を出すな、この一帯は危険だ、と」

「なるほど。素直に助言を吸収する、それもまた才能だな」

惺也にその才能があることを祈るばかりだ。それも積もれば、実力になる。

「俺は弟にすくすく成長してもらいたいだけなんだがなあ」

「兄も大変ですね。私から指摘しましょうか?」

「いや、俺から弟に話す。……悪いが、しばらく弟を見てやってくれるか?」

「本当に、過保護ですね」

呆れた声で了承した野口が部屋を出たあと、俺は盛大なため息をつき、惺也と話をするために通話用の端末を手に取った。





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