ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
第九章 揺るぎなく信じてる
日本に戻ったのは年始休暇が終わる直前。バカンスが終わる寂しさに浸る間もなく、現実に引き戻された。
デスクで書類仕事をしていると、ふと通りかかった森川さんが足を止める。
「そのペン、素敵ね」
使っていたのは康惺さんがくれた万年筆だ。
「夫から誕生日にもらったんです」
そう説明して万年筆を見せると、森川さんは「舘華康惺からのプレゼント!?」と声をあげて食いついてきた。
恐る恐る万年筆を手に取り、角度を変えて観察する。
「なるほどね、素敵なわけだわ。金と真珠とダイヤが入っているんだものね」
思わず「へ?」と目を丸くする。
森川さんがまさかという顔で「気づかなかったの?」と万年筆を返してくれる。
「ここにダイヤと真珠が埋め込まれていて、ペン先は十八金とかじゃないかしら」
森川さんの解説を聞いて呆然とする。
パールやダイヤ風の装飾かと思っていたら、『風』なんかじゃなくて、本物!?
高級なジュエリーを避けて、今の私に必要な実用品を選んでくれたのだと思っていたけれど。
……ジュエリーも実用性も、両方の要件を満たしてたんだ。