ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「康惺さんが使っていたときのまま、模様替えしていないんです。ごちゃごちゃさせるのも申し訳ないので、あまりものを置かないようにしていて」

「……我慢、してます?」

「ああ、いえ! 必要なものは置かせてもらっていますし! 大きな自室もいただいてますから」

この辺なんか私の趣味です、と紅茶の茶葉やお砂糖、ポーションなんかが置いてある食器棚の一角を指し示す。

兄が紅茶を飲まないと知っていたのだろう、惺也さんは「本当だ」と頬を緩めた。

「正直、心配していたんです。あんな形で無理やり結婚させられて、涼羽さん、大丈夫かなって」

思わず吐露したであろうひと言に、私はコーヒーカップを持つ手を止める。

惺也さんはソファの上で項垂れ、組んだ手の上に額をついた。

「しかも十六も年上の兄さんが相手なんて。八つ年上の僕でさえ気が引けたのに」

私だってあの頃は、相手が年上すぎて結婚する実感は微塵も湧かなかった。

できあがったコーヒーとお茶請けをトレイに載せて運びながら、私は「お気遣いありがとうございます」と声をかけた。

「最初は私も戸惑いましたけど、今は円満にやっていますので」

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