ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
ローテーブルにトレイを下ろし、コーヒーカップを彼の前に運ぶ。すべて運び終えてキッチンに戻ろうとしたところで、不意に彼が私の腕を掴んだ。

「本当に? 無理をしていませんか?」

「え?」

突然真剣な顔で詰め寄られ、動揺する。彼の眼鏡に動揺する私の顔がかすかに映り込んだ。

「あの縁談はどう考えても無茶だった。だから、涼羽さんが結婚生活に音を上げたとしても、仕方がないと僕は思っているんです」

「惺也さん……?」

手首を持つ手に力がこもる。でも腕を掴まれた痛み以上に、彼の真摯な眼差しに心が揺さぶられる。

「君が家業のために犠牲になっているなら、僕がなんとかしなきゃって思っていました。もともとは僕がその役目を引き受けるはずでしたし」

ふと、箕山会長のパーティーでかけられた言葉を思い出す。

『涼羽さんの隣に立つのは僕だったかもしれない』――彼は私への責任をまっとうしなければと、ずっと気に病んでいたのだろうか。

「惺也さん。私、今はちゃんと康惺さんのことを――」

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