ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
愛している。幸せに暮らしている。もう心配をする必要はない、そう説明しなければと口を開きかけたとき、彼が掴んでいた腕を引き寄せた。

バランスを崩して倒れ込みそうになり、慌てて彼の肩に手をかける。

「ご、ごめんなさい!」

体を起こそうとすると、彼が手を掴んだまま私の耳もとにそっと囁きかけた。

「力を貸してくれるなら、今の生活から涼羽さんを助け出してあげます」

その不穏な提案に嫌な予感がして、彼の手を振り払う。

「それは、どういう……」

「たとえば、ふたりで兄を失脚させるとか」

「…………は?」

あまりにも信じがたい言葉に、私は自分の耳を疑った。

どうして急にそんなことを言い出すの? 贈り物をするほど康惺さんと仲がいいんじゃなかったの?

今日だってわざわざ仕事で手を借りたお礼にと、ワインとチーズを届けてくれた、はずなのに。

「冗談、ですよね……?」

尋ねる声が震える。

「そうですね。今のところは。でも、涼羽さんがその気になってくれるなら、本気にしてもいいですよ」

答えた惺也さんの声は、笑っているはずなのに妙に冷え冷えとしていた。

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