ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
眼鏡の奥の目に闇を孕むような暗い輝きがあって、背筋がぞくりと寒くなる。

「兄さんは今頃、あなたの知らない女性と一緒です」

「は……?」

「残業なんてほとんどしていませんよ、あの人は。仕事にも跡継ぎにも意欲なんて持ち合わせていないので。帰りが遅いのは単純に別宅に女性を囲っているからだ」

その言葉に頭の中が真っ白になる。

「冗談、ですよね? さっきは違うって」

「あなたを傷つけないように言葉を選んでいたんですが。直球で言った方が、話が早そうだったので」

嘘だ、すぐさまそう反論しようとするも喉が詰まったように声が出なくなった。

私が知らない別宅があって女性を囲っている、そんな証言を半信半疑ながらも信じかけてしまったから。

でもすぐに思い直す。別宅の有無はわからないけれど、少なくとも康惺さんは仕事に意欲がないわけじゃない。やるべきことに手を抜いたりはしないはずだ。

「そんなわけ、ありません」

熟考の末に否定すると。

「さあ、どうかな。本人に聞いてみたらどうです?」

惺也さんは冗談とも本気ともつかない口ぶりで言う。

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