ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
しかも、業務上の指摘までもが嫌がらせとして受け止められていたと知り、愕然とした。

「なにを言ってる。それに関してはさんざん説明しただろう」

「あんな話、信じられるわけがないだろう! 白嶺は歯牙にもかけない格下企業だ。それを銀行やら省庁やら不確かなコネクションを挙げられたところで、どうしたらいいって言うんだ!」

「どうもこうも、手を引けと言ったはずだ」

あの企業を敵に回すのは危険だと、業界の流れをよく追っていれば察知できる。だからこそ、ほかのどの企業も白嶺の息のかかったあの土地に手をつけなかった。

三年前に一度、とある不動産会社があの地に開発計画を立ち上げたらしいが、地権者諸々に反対され白紙になったのも調査済みだ。

これだけの不安材料がありながら推し進めようとするのは、俺に対する反抗にほかならない。

反発心ばかりが先に立ち、冷静な判断を欠いているのは明らかだ。

「俺への不満を仕事に持ち込むな」

「兄さんこそ。俺から全部奪わなければ気が済まないくせに」

惺也はやってきたエレベーターに乗り込み、扉が閉まる最後までこちらを睨みつけていた。

姿が見えなくなって、短く息をつく。

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