ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
弟が成長してくれたらと、あらゆる手を講じてきた。わかりやすく手を差し伸べたこともあったし、失敗をフォローするために陰ながら奔走したこともあった。

今、俺と同じことができなくてもいい。八年後にできるようになってくれたら。そう思って手をかけてきたつもりだった。

だが、惺也にこうなってほしいと理想を押しつけるのは、俺の自己満足だったのかもしれない。

「甘やかしすぎたな……」

俺を出し抜くことばかりに囚われて、まともな判断もできなくなっているのなら、もう甘い顔はしていられない。容赦を捨てて、相応の態度に出るべきだ。



リビングに戻ると、涼羽がソファの前でぽつんと立ち尽くしていた。

『勝手に家に上げて、すみませんでした……』

俺が飛んで帰ってきたから、迷惑をかけたと思っているのだろう。

『いや、いい。もし涼羽の肉親が尋ねてきたら、俺も同じように上げていただろうしな』

責めるつもりはない。俺が心配しているのは、涼羽が無事かどうか、その一点だ。

『それより、なにかされなかったか?』

『はい、なにも』

『そうか。よかった……』

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