ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
前に作ったときにおいしいと好評だったのだが、今日の康惺さんはうどんを口に運びながらどこかボンヤリしていた。

「康惺さん?」

名前を呼んでも反応が遅い。ワンテンポ遅れて「ん? ああ、なんだ」と気づいてくれた。

「おいしいですか?」

「ああ、うまい。すごくうまい」

そこまで言われると、ちょっと嘘っぽい。まずくはないのだろうけれど、上の空なのは間違いない。

やはり、会食を中座したのが原因だろうか。それとも――。

『別宅に女性を囲っている』――惺也さんの言葉を思い出し胸に靄がかかる。

無意識のうちに暗い顔になっていたのか、康惺さんが箸を止め、こちらに向き直った。

「さっきのことは気にするな。涼羽のせいじゃない」

惺也さんを勝手に家に上げてしまったことを言っているのだろう。実際、それも申し訳なく思っている。

「ですが、家の主の承諾もなく上げたのはよくなかったかな、と……」

「お前の家でもあるだろう」

ぶっきらぼうに放たれたひと言にぱちりと目を瞬かせる。

「強いて言うなら、アポもなしに図々しく上がり込んだ惺也が悪い」

再び箸を動かし、豪快にうどんをすする。

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