ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「ええ。茂木野社長にお話があって。ご自宅に伺おうか悩んだのですが、あくまで仕事の話ですので、それも失礼かと」

そう説明して襟を直すと、隣の野口さんに視線を向けた。

「ここまで付き添ってくださってありがとうございました。あとは僕が。帰っていただいて結構です」

野口さんは少々困った様子だったが、惺也さんの指示を受けて「……失礼いたします」とすごすごとロビーを出ていった。

康惺さんではなく惺也さんが来るなんて。今日の用件はいったいなに? 提携の話ではないの?

動揺する私をよそに、惺也さんが上品に微笑む。

「案内をお願いできますか?」

「……! もちろんです」

私は惺也さんを連れて社長室に向かう。

部屋に入ると、まさか父も惺也さんが来るとは思っていなかったようで、驚いたように目を大きく見開いた。

「これはこれは惺也殿。来てくださるとは思いませんでした。ご足労いただき感謝いたします」

丁寧に挨拶を交わしながらも探るような目で惺也さんを見る。

「突然お伺いして申し訳ありません。ぜひ、茂木野社長と内々でお話がしたかったものですから」

私が部屋を出ようと一礼すると、惺也さんに「待ってください」と止められた。
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