ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「涼羽さんはいてください。あなたにも関わってくる話です」
そう言って座るよう促され、私は向かい合う彼らの横にあるひとりがけのソファに腰を下ろした。
「さっそくで恐縮ですが、緊急のご用件とは?」
尋ねる父。惺也さんは膝の上で軽く手を組み、正面の父へ視線を向けた。
「率直に申し上げます。兄と手を切って、こちらについてもらいたい」
思いもよらない提案を口にされ、父も私も言葉を失う。
兄と手を切れとは――提携を結ぶなということだろうか。だが惺也さん自身も舘華興産の一員なのに、なぜそんなことを……?
「メリットは涼羽さんの自由と、舘華家に依存しないで済むだけの利益の確保。会社のために愛娘を嫁がせるなど、茂木野社長もうんざりしていたのではないですか? これ以上、舘華家に利用されたくない、自立したいとお考えでしょう?」
「お言葉ですが、惺也殿。すでに娘は康惺殿に嫁ぎ、幸せに暮らしています。今さらどうこうしようとは――」
「それは娘さんが我慢をしているに過ぎない。父親に心労を悟らせまいとしているだけ。健気な娘さんですね」
父が不安そうに私を見つめる。