ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「さっきから子ども扱い、やめてください。成人していますので」

背の高い彼を睨み上げると、彼は目を細めて今度こそ、その顔から笑みを消した。

「女扱いしろって?」

その瞬間、顎を掴まれて上を向かされた。同時に彼が背中を丸め、端整だがどこか闇を孕んだ顔を近づけてくる。

咄嗟にびくりと震えてしまい、しまったと思った。怯えていると思われる。また子ども扱いされてしまう。

案の定、彼はキスをする前に動きを止め、私の体を解放した。

さっきの艶めいた眼差しはどこへやら、おどけるようにひょいっと手を掲げて降参のポーズをする。

「俺、他人と同居とか無理なんだよ」

話題を変えられ、情けをかけられたような気がした。

キスひとつ満足に受け入れられない子どもと本音で語り合うつもりはない、そんなニュアンスを感じ取って、悔しい気持ちになる。

一応「それはどういう意味ですか?」と尋ねてみると。

「リビングで煙草が吸えなくなる」

斜め上の返答をされ、思わず「は?」と間抜けな声を漏らす。

「さ、帰った帰った」

背中を押され玄関に促される。この人、本当に全部うやむやにしたまま一方的に追い出す気だ。
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