ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「兄と提携を考えているようですが、期待しないことです。舘華興産はやがて他社に援助する余裕もなくなる。僕らの計画に乗らなければ、後悔することになりますよ」

社長室に沈黙が落ちる。

まさか、そんなと、信じたくない思いが頭の中を渦巻いて、目の前の現実を受け止められない。

沈黙を破ったのは父だった。顔を上げ、冷静に私を見つめる。

「涼羽。お前はどう思う?」

「え……?」

「涼羽にとって康惺殿は、信用に足る人物か。日頃から彼を見ているお前なら気づくこともあるだろう」

父の言葉でハッと我に返る。この数カ月、康惺さんの一番近くにいたのは惺也さんではなく父でもない、ほかでもない私。

真実はどうなのか、それを今この場で議論しても答えなど出るわけがない。

一番大事なのは、自分が康惺さんを信じているかどうかだ。

「私は康惺さんを信頼しています」

頭が冷静になったとき、その言葉がすんなりと口を突いて出た。

彼は失脚するような愚かな真似なんてしない。

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