ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
吹っ切れたのか、父が短く息をつく。

「同感だな。では、私もその泥船とやらに同乗しよう」

「お父さん……」

「茂木野社長! 正気ですか?」

惺也さんがソファから立ち上がる。父はすべての資料をローテーブルの上に重ねると、返す意思を示すように惺也さんの方に向けて置き直した。

「私も同じ所感だった。康惺殿は信頼に足る人だ。抜け目のなさや強かさも含めて、な」

父が私に向けて微笑む。父も康惺さんを信頼してくれていた、その事実がなによりも嬉しかった。

そのとき、部屋をノックする音が響いた。

「社長、お客様がお見えです」

少々動揺した森川さんの声がする。普通、お客様がいらしているときに声をかけたりはしないのだが、よっぽど緊急の来訪だったのだろう。

父が「どなたかね」と声を張り上げる。

「それが……舘華専務が、社長と舘華本部長にお会いしたいと」

康惺さん……!?

驚きから私と父はその場で立ち上がり顔を見合わせ、惺也さんは立ったまま大きくチッと舌打ちした。

「入ってくれ」

父の合図でドアが開き、康惺さんが悠然と部屋に入ってくる。

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