ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
惺也さんがハッとしたように動きを止める。もしかしたら、自分に重なるなにかがあったのかもしれない。

「惺也さんが贈ったライター、今も大事そうに使っていますよ」

「……っ!」

惺也さんと康惺さんが、互いに嫌そうな顔で睨み合う。そこはもう少し嬉しそうにしてほしかったのだが。男兄弟って難しい。

「人一倍、気にしぃで神経質で繊細なのを隠しているんです、康惺さんは」

「そろそろやめてくれ。なんの罰ゲームだよ」

康惺さんが項垂れた。

惺也さんはいい加減、歯向かう気力を失くしたようで、嫌そうな顔で脱力している。

ふたりのうしろで、父だけが満足そうに笑っていた。

いたたまれない表情で、康惺さんが後頭部をかく。

「……少なくとも俺は、自分と誰かを比べるような真似はしなかった。お前くらいの歳の頃は、周りの人間の言うことを素直に聞いてきたつもりだ」

「くそ……!!」

悔しそうに悪態をついて、惺也さんが部屋を出ていく。

康惺さんは「これ、破棄でお願いします」と申し訳なさそうにテーブルの上の資料に目線を向けた。

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