ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
父が「もちろん」と頷くのを聞いて、私はすぐさま資料をシュレッダーにかけて証拠隠滅する。

「茂木野社長――親父殿。後日、あらためて謝罪に伺います」

「我々のことは気になさらず。惺也殿を頼みます」

やり取りをしたあと、康惺さんが私に向き直る。

「涼羽。今日は早めに帰るから」

「はい。鍋焼きうどんを作って待っていますね」

康惺さんはニッと微笑んで私の肩に手を置いたあと、惺也さんのあとを追いかけて社長室を出ていった。




その日の夜、十九時に康惺さんは帰ってきた。これまでにないくらいの早帰り。私の夕食の準備が追いついてない。

「待っていてください、すぐできますので」

「手伝うよ」

「パスタ以外、作れるんですか?」

「鍋焼きパスタになっちまうな。じゃあ、大人しく見ておくか」

そうおどけたことを言ってカウンターに肘をつき、こちらをじっと見守る。

あとは土鍋ふたつに具材を入れて煮込むだけなので、とくに手伝ってもらう必要もない。私はテキパキと作業を進める。

「……不安にさせて、悪かった」

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