ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
第十一章 ふたりの夢の結末
長い役員会が終わり、俺はため息を噛み殺しながら会議室をあとにした。
隣には吹っ切れた顔をしている惺也。叱責の余韻を引きずってはいるようだが、表情に後悔や無念さは感じられない。
今日の役員会は、惺也の処分を決めるものだった。
俺の忠告を聞かないに留まらず、正規の取引を不正だと騒ぎ立てて外部の人間に漏らした。なにより権力者である山崎さんを巻き込んだのがまずかった。
親父は激高して縁を切ると叫び出すし、親父をよく思っていない役員は親子揃っての引責辞任を迫り、この機に乗じて経営権を奪おうとする親族もちらほら。
親父をなだめるのも、親族たちが納得するよう事態を収拾するのも地獄だった。
「こんな会議、二度とごめんだ」
役員たちの遠ざかる背中を眺めながら本音を漏らすと、惺也がふっと笑うように息をはいた。
「兄さんは大変そうだったね」
「随分他人事みたいに言ってくれるじゃないか」
「僕は彼らが下す処分を粛々と聞くだけだったから」
確かに惺也は大きな弁解もせず、彼らの罵声を浴びながらも真っ向から受け止めている印象だった。