ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
エピローグ
ちょうど今から一年前、彼が区役所に婚姻届を提出した。
事後報告だったのでこの日に特別な思い入れはなかったけれど、一年経った今は少しだけ胸が弾んで感慨深い。
「お手をどうぞ、お姫様」
彼が助手席側に回り込み、私をエスコートしてくれる。差し出された手を取って、私は車を降りた。
「こうしていると、ダンスパーティーの日を思い出しますね」
あの日もこうして着飾った私を彼がエスコートしてくれた。
あれから少しだけ彼がダンスの練習に付き合ってくれて、今も地道に自主練を続けているけれど、公の場でお披露目できるのは当分先だ。なぜなら――。
「懐かしいが、今は踊れないな。転んだら大変だ」
そう言って彼が私のお腹に視線を落とす。
赤ちゃんは無事安定期に突入。お腹がぽっこりと膨らんでいる。
「このパンプスならもう少し軽々と踊れる気がするんですけどね」
思わず今履いている一センチヒールのパンプスに視線を落とす。転んだら危ないからと彼が買ってくれたもので安定感抜群だ。
「ここがダンスホールじゃなくて残念だ。ほらお姫様、足もとに気をつけて」