ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「それにしても、茂木野親子にはたまげたわ。社長はあの舘華興産から援助を取り付けてきて、娘は娘で跡取りを落としたんでしょう? とんでもない手練れ親子だわ」

援助目当ての政略結婚などと公にはできないから、私の結婚を知る人たちには〝舘華家長男の猛アピールの末に結婚〟という筋書きで通している。

康惺さんには申し訳ないとは思うものの、まあ彼に事情を説明したところで『好きにしろ』と言われておしまいだろう。

「ねえ、結婚式はしないの? 舘華康惺のタキシード姿、見たいんだけど」

見たいのは手塩にかけた後輩のウエディングドレス姿ではないんですね、というツッコミはごくりと呑み込んで「今のところ予定はありません」と苦笑いで答える。

婚姻届を書いて二カ月が経とうとしている。あれから一度も彼には会っていない。

メールや封書は届いていて、生活費用のクレジットカードを送り付けられたのと、実家を出るための新しい住まいについて希望を尋ねられたのと、一番驚いたのは補償つきの厳重な配送で結婚指輪と婚約指輪が送られてきたことだろうか。

結婚の形だけは整った。

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