ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
とはいえ、このまま実態のない結婚生活を送り続けるのはまずい。ご当主は跡取りをご所望だ。

援助をもらう代わりに長男の跡取りを産む、そういう約束をしてしまった以上は、ちゃんと役割を果たさなければ。

なんとかあの男を捕まえて〝その気〟にさせられないかと、私は思案を重ねていた。



その日、私は実家ではなく康惺さんが用意してくれた新居に帰宅した。

今私がひとり暮らししているのは、彼の住むペントハウスの真下にある部屋だ。

『どこに住みたい?』――そう尋ねられた私は、彼と同じマンションを選んだ。少しでも彼に近づく必要があったからだ。

距離を置きたいと渋る彼を、『ここなら別居がバレにくいから』となんとか粘って丸め込んだ。我ながら説得力のある言い訳だったと思う。

彼はマンションの数部屋を投資用に押さえていたらしく、その中の一番いい部屋を私に譲ってくれた。

引っ越しは完了させたものの、彼との距離は縮められないまま。

このままではご当主に『跡取りはまだか』とせっつかれかねない。その前になんとか彼と接触し、ことを成す必要がある。

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