ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
逃げられないように低めの声で詰め寄ると、彼は「あんたも物好きだよな……」とため息交じりにこぼした。

「どういう意味です?」

「せっかく結婚の実態がなくてかまわないって言ってんだ。自由を満喫すればいいじゃないか。クレジットカードだって渡しただろ」

「そんな、お金目当てみたいに――」

言いかけて言葉をぐっと呑み込む。家業の援助目的だから、お金目当てであることは確かだった……。

私はこほんとひとつ咳払いして彼に向き直る。

「一方的にいただくばかりではなく、妻として果たせる責任は全うしたいと考えています」

「あんたの戸籍をもらった。もう充分だ」

「いや、そうではなくて。ご当主ともお約束しましたし。立派な跡取りを産むって」

「その件は気にするな。子宝に恵まれなかった、それで充分だろ」

……いや、全然充分じゃありませんって。

モラハラ当主に『子どもも満足に産めない女をよこしたのか』なんていちゃもんをつけられたらたまったもんじゃない。下手をしたら離婚、その上、援助は白紙だ。

エレベーターが一階に近づき、ランプが点灯する。

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