ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
彼に逃げられてしまう、そう焦った私は、咄嗟に思いついたことを口走った。

「産ませてもらえなきゃ困りますッ!」

思わず声が大きくなる。近くを通りかかった男性が、修羅場かなにかだと誤解したのだろう、ぎょっとした顔でこちらを見た。

さすがに気まずく思ったようで、康惺さんはやってきたエレベーターに足早に乗り込み「こっちに来い」と私を引き入れる。

操作パネルで閉じるボタンを即座に押すと、深いため息をついて項垂れた。

「勘弁してくれ」

「……失礼しました」

さすがにちょっと申し訳ない。

「……だから子守りは嫌なんだよ」

呟かれたひと言に、今度こそカチンとくる。ずっと子ども扱いされているなあとは思っていたけれど、とうとう本音を口にしましたね?

その子どもと結婚したのはあなたですが?

なにがなんでも私を女として認めさせてやる、そんな負けん気が湧き上がる。

彼が操作パネルでペントハウスの一階下を選択した。私の居住階だ。

「私のキーじゃ最上階に行けないのに……」

康惺さんのキーならほかの階も選択できるようだ。なんだか不公平。

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