ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「あんたの部屋は俺の名義だからな。まあ、このキーじゃあんたの家の玄関までは開かないから安心しろ」

「私のキーも最上階に行ける設定にしてもらえません?」

「必要ないだろ」

そう一蹴し、私の居住階で彼は開くボタンを押し続け、降りるように促す。

私はその場を動かずに彼の腕にしがみついた。

「今日は康惺さんのお宅にお邪魔させてください」

「は? なに言ってんだ」

「あなたのお家に行きたいんです」

「ダメだ。二度とかかわりたくないって言ってるだろ」

へえ? 伝言を無視したのはそういう意味だったんですか?

かといってここで引き下がっては、また悶々と悩む日々に逆戻りだ。なんとか説得できないかと考えを巡らせる。

「もしかして、部屋で女性が待っているんですか? ただならぬ関係のお相手でもいらっしゃるんです? 偽装結婚までしたのは、不倫の隠蔽工作?」

「ばっ――違う!」

ようやく見せた、慌てたような顔。私はしてやったりと口の端を跳ね上げる。

康惺さんはさらなるため息を大きく大きくついたあと「わかったから離せ」とエレベーターを最上階に向かわせた。

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