ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
彼は「ああ」とグラスのミネラルウォーターをひと口飲んで、少し真面目な顔をした。

「だが誤解するな。こっちはお人よしでやってるんじゃない。自立してしっかり稼いでくれっていうプレッシャーだ」

「もちろんです。ですが父は、立て直す一助になると喜んでいました」

負債をすべてどうにかしてもらおうなんて甘いことは父も考えていないだろう。大事なのは経営再建だ。

「それで……父が私たちを気にしているようなので。口裏を合わせておいた方がいいかな、と」

彼のグラスを持つ手がぴたりと止まる。

わずかに思案したあと、中身を一気に煽り、飲み干した。

「詳しく聞かれたら、夫は仕事で忙しくてなかなか帰ってこないからわからないと濁せ。事実だしな」

「そう、ですよね……」

「不満そうにしてたら、夜の営みだけはしっかりやっているから心配ないとでも伝えておけ」

思わずゲフッとむせる。まあ確かに父が気にしているのはそこなのかもしれないが、実際にそれを口にするのは、はばかられる。

「まずはそっちを濁すべきでは」

「事実だろ」

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