ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
彼が食べ終えた皿をキッチンに運び、ついでにミネラルウォーターのボトルを持ってくる。

私のグラスに継ぎ足しながら「紅茶とかなくて悪いな」と謝る。相変わらず誠意のない謝罪を気軽に口にする人だ。

「俺はシャワーを浴びてくる。あんたはどうする?」

「私は浴びてきたので結構です」

「その割にはフルメイクだな」

「さすがにすっぴんで一階を通るのはちょっと、と思いまして」

セキュリティの関係上、ここに来るには一度、一階エントランスまで行ってインターフォンを押す必要がある。

居住者や身なりの整った来訪者など多く通る場所で、すっぴんはさすがに抵抗がある。

「そのまま寝るのは肌に悪いだろ。次はすっぴんで来い」

軽々しく言う彼。

する前から次の算段とは縁起の悪い。しかも、ほかにも心配することはいろいろあるだろうにお肌だけ気にするとは、彼の気の遣い方はどうもおかしい。

頬を膨らませて主張すると、彼は「はいはい、これが最後になるように、せいぜい頑張りますよ」と気の抜けた返事をしてリビングを出ていった。

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