ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
康惺さんが優秀なのは当然。なにしろ、この若さで天下の舘華興産の専務を務めているのだ。世襲が根強い企業だとしても、なにもできない人を上に立たせるような会社だとしたら、何十年と経営が安定するはずもない。

……それだけ仕事ができるのに、どうして家督を弟に譲りたがっているんだろう?

仕事中の立ち居振る舞いを眺める限り、やる気がないようにも見えない。

……いったいなにを考えている?

作り上げられた秀麗な笑みをどれだけ眺めようと、彼の本音は読み取れない。

聞いたところで答えてももらえないだろう。謎は深まるばかりだ。

康惺さんからいくつも指摘を受けたあと、事業部長は持ち場に戻り、経営幹部は社長室に戻った。

これから康惺さんたちと提携に向けた本格的な協議が社長室で行われる。

森川さんも秘書室に戻されたが、私だけこの場に残るよう指示を受けたのは、私がある種の当事者だからだ。

舘華興産からの援助を受けられるようになったのは、私が舘華家に嫁ぎ確固たるコネクションを構築したから――ここに残った一部の役員たちはそれを把握している。

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