ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
妻がいることで提携が有利に進む、そんな甘い考えもあるのかもしれない。

……康惺さんに限って、忖度はしないと思うけれど。

これまでの態度を見る限り、彼は公明正大だ。

なにより、私たちは愛のないかりそめの夫婦。

……たいして力になれずごめんなさい。

父や役員のみなさまに心の中でそっと謝罪する。

応接用のソファに康惺さんと野口さんが座り、秘書の蛯原さんはそのうしろに立った。

私も同様に、父の座るソファのうしろに立って彼らの話し合いを見守る。

「貴重なご指摘をいただき感謝いたします。至らぬ点も多く、お恥ずかしい限りです」

恐縮する父に康惺さんは口もとに笑みをたたえ、だが決して友好的とは言い切れない隙のない表情をした。

「すべて私の指示通りにとは申しません。どこを改善し、どこを残すかはお任せします。ですので成果は数字で。削減実績や収益で示してもらいたい」

一見柔らかな物腰の裏に、妥協を許さない厳しさを感じ取る。

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