ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
喜ぶ両親の姿を見るのは悪い気はしない。けれど、私自身は相手が良家の人間だろうが跡取りだろうが正直どうでもいい。

肩書きに興味はない。ただ幸せな結婚がしたいだけだ。

欲を言えば、父の経営の仕事を手伝いたかった。この春から茂木野不動産に入社し、社長秘書をしながら不動産について勉強しているところだった。

……仕事を続けることは、許してもらえないだろうな。

良家の嫁ともなれば、果たすべき役目がたくさんあるはずだ。きっと自由にはできない。

新社会人になり三週間、これからだというときに辞めるのは悔しいが、条件を呑まなければ会社自体がなくなってしまうのだから致し方ない。

そう考えると、少しだけ悲しい気分になる。

気持ちが晴れないまま目線を彷徨わせていると、庭の奥、母屋の縁側に誰かが座っているのが見えた。

距離があって顔はよく見えないが、雰囲気から察するに、私よりだいぶ年上の男性だ。三十歳……いや、もしかしたら四十に近いだろうか。

スーツを着ており身なりはよさそうだが、脚を組み、後ろに手をついてふんぞり返るように煙草をふかす姿は決して行儀がいいとは言えない。

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