ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「……蛯原さん。提携に関する契約書を出してもらえる?」
「こちらでよろしいでしょうか」
指示された蛯原さんは、背後から書類を差し出しながら、康惺さんの顔を覗き込むように腰を屈める。
彼女の長い髪が康惺さんの肩に落ちる。かと思えば、さらに身を乗り出した彼女の胸が、康惺さんの顔のすぐ真横に迫った。
……っ!
少し顔を傾ければ鼻先が胸に埋まってしまいそうだ。
当の康惺さんは無反応。気づかない――にしては鈍感すぎる気がするが……。
ふと蛯原さんの眼差しが私の方に向く。なぜか意味深な、勝ち誇るような笑み。
……え? ああ、そういうこと?
これがいわゆるマウントというやつなのだと理解し、すっと冷静になる。
私が康惺さんの妻だと理解しての行動だろう。
……いい気はしないものね。
愛人のひとりやふたりはいるかもと覚悟していたので、今さら文句を言うつもりもないのだが。
地味にふつふつと湧き上がってくる苛立ちはどういう感情なのだろう。初めてなので言語化がうまくできない。
「こちらでよろしいでしょうか」
指示された蛯原さんは、背後から書類を差し出しながら、康惺さんの顔を覗き込むように腰を屈める。
彼女の長い髪が康惺さんの肩に落ちる。かと思えば、さらに身を乗り出した彼女の胸が、康惺さんの顔のすぐ真横に迫った。
……っ!
少し顔を傾ければ鼻先が胸に埋まってしまいそうだ。
当の康惺さんは無反応。気づかない――にしては鈍感すぎる気がするが……。
ふと蛯原さんの眼差しが私の方に向く。なぜか意味深な、勝ち誇るような笑み。
……え? ああ、そういうこと?
これがいわゆるマウントというやつなのだと理解し、すっと冷静になる。
私が康惺さんの妻だと理解しての行動だろう。
……いい気はしないものね。
愛人のひとりやふたりはいるかもと覚悟していたので、今さら文句を言うつもりもないのだが。
地味にふつふつと湧き上がってくる苛立ちはどういう感情なのだろう。初めてなので言語化がうまくできない。