ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
曖昧な笑みを浮かべてごまかそうとしたが、彼女は行く先に回り込んで、壁に手をついて道を塞ぐ。

「あなたたち、あのマンションのペントハウスで暮らしているの? あの部屋はいいわよねえ。広いし、リビングからの眺めが最高だし」

ぎょっとして凍りつく。

どうして彼女がリビングからの眺めを知っているのか。そして、それを私に伝えたのか。

……家に呼ばれるほど深い仲だったと言いたいんだ。

冷静な思考とは裏腹に、感情がぞわりと波立つ。少なからず嫌な気持ちが湧き上がった。

……でも、その質問が出るってことは、私たちが別々に暮らしている事実までは知らされてないってことだよね?

今も康惺さんに愛されているのだとしたら、そんな質問は出てこないはず。彼女の性格からして素直に『今も関係を持っている』『今でもあの部屋を行き来している』と揺さぶりをかけてくるに違いない。

つまり蛯原さんは、康惺さんが結婚にあたって関係を清算した人なのではないか。

……全然精算できてませんよ、康惺さん。

それどころか、妻に不倫を匂わせるなんて、少々モラルが足りてない。

……康惺さんったら、面倒な方に手を出しちゃいましたね。

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