ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
……いや、行ったら行ったで、ご近所のママたちからちやほやされるのかな?

『未婚の女性たちの憧れ』から『公園ママたちの憧れ』に転身――それはそれでおもしろい。

思わずプッと吹き出すと、彼は嫌な予感がしたのか目を細くした。

「なんだよ、急に」

「いや……意外と抱っこ紐も似合うかな、なんて」

「似合うわけないだろ……」

げんなりと煙を吐き出す彼。

もう煙草は満足したのか、吸い殻を携帯灰皿にしまいながら、私の方にちらりと視線を向けた。

「涼羽。本当にいいのか?」

突然、真剣な声で尋ねられ、なんのことかと首を傾げる。

「家業の心配はほぼなくなった。このままうやむやにすれば、あんたは自由になれる。まだ引き返せるぞ?」

ああ、と空を仰いだ。

茂木野不動産への援助は康惺さんがうまく取り計らってくれた。結婚して跡取りを産まなくても、会社が潰れる心配はない。

現状を引き延ばして二年、三年と経ったあとに離婚すれば、まっさらな状態に戻れるのだ。

……でも私はもう、彼と体を重ねてしまったし。

彼の腕の中にいるときの熱と、甘苦い香りを思い出して複雑な気持ちになる。

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