ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
追いついたところで惺也さんに尋ねられ、「いえ、そういうわけでは……」と弁解した。

「惺也さんは、お兄さんとはだいぶ年が離れていたんでしたか」

「ええ、八つほど」

つまり、さっき見た彼は三十八歳ということか。外見は納得だが、貫禄が三十代後半のそれじゃない。

「兄のことは、後ほど紹介させていただきますが――」

私たちを玄関の中に招き入れながら、惺也さんは細く息を吐いて肩を落とした。

「優秀なのにやる気がない、どうしようもない兄なんです」

惺也さんがどんな気持ちでこの言葉を口にしたのか、このときの私にはよくわからなかった。



通されたのは広々とした客間だ。床の間には掛け軸と生け花が据えられ、中央には大きな一枚板のテーブル。

開け放たれた障子の向こうは縁側で、ここに来るまでに目にした庭が広がっている。

やがて部屋にやってきたのは、着物を着た年配の男性。漂う品と貫禄から、すぐにこの家の主、舘華天満その人だとわかった。

こちらを見下ろすような眼差しに、ふと縁側で見かけた男性の面影が重なる。

「本日はお招きいただき――」

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