ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
立ち上がった父の言葉をご当主は手で制し、上座に腰を下ろすと。
「あいつはどうした」
低くしゃがれた声でひと言、そう漏らした。
……あいつ?
わけもわからぬまま、その場の緊張感に気圧される。
間髪入れず、襖が開いた。
「失礼します」
低く伸びやかな声を響かせ客間に入ってきたのは、ダークグレーの上質なスリーピーススーツに身を包んだ男性――先ほど縁側で見たあの人だ。
近くで見る彼は、目もとに気だるさを滲ませながらも整った顔立ちをしていて、成熟した美貌を宿している。
威厳漂う立ち姿と精悍な佇まいは、やはりご当主にとてもよく似ているなと感じた。
またしても一瞬だけ視線が交わって、射貫かれたような痺れに見舞われる。
「っ……」
心の奥底を開けっ広げて鷲掴みされるような感覚。この人の眼差しは魅惑的で、それでいて禍々しくて、どうも恐ろしい。
「遅い」
苛立たしげに言い放つご当主に、その男はゆるりと不遜な笑みで応じる。
「お待たせしたようで失礼しました」
たいして反省していない口ぶりで言って、テーブルから少し離れた位置で胡坐をかいた。
「あいつはどうした」
低くしゃがれた声でひと言、そう漏らした。
……あいつ?
わけもわからぬまま、その場の緊張感に気圧される。
間髪入れず、襖が開いた。
「失礼します」
低く伸びやかな声を響かせ客間に入ってきたのは、ダークグレーの上質なスリーピーススーツに身を包んだ男性――先ほど縁側で見たあの人だ。
近くで見る彼は、目もとに気だるさを滲ませながらも整った顔立ちをしていて、成熟した美貌を宿している。
威厳漂う立ち姿と精悍な佇まいは、やはりご当主にとてもよく似ているなと感じた。
またしても一瞬だけ視線が交わって、射貫かれたような痺れに見舞われる。
「っ……」
心の奥底を開けっ広げて鷲掴みされるような感覚。この人の眼差しは魅惑的で、それでいて禍々しくて、どうも恐ろしい。
「遅い」
苛立たしげに言い放つご当主に、その男はゆるりと不遜な笑みで応じる。
「お待たせしたようで失礼しました」
たいして反省していない口ぶりで言って、テーブルから少し離れた位置で胡坐をかいた。