ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
……選択肢のないことの方が多いから、そういう発言になるのね。

舘華興産の専務としての役割を完璧にこなし、跡継ぎ候補として有望視され、結婚と跡取りの出産を期待され――たぶん彼はどれも望んでいないのに逃げることは叶わない。

夜中にパスタを食べるくらい、些細なことだ。

「あんたも今のうちに、やりたいことやっといた方がいいぞ」

「その発言は、ちょっとオジサンっぽいですね」

ごもっともだと思ったのか、彼がぐっと喉を鳴らす。悔しそうに押し黙る彼がかわいく見えて、思わずプッと吹き出した。

「やりたいことをやっていますよ。とくに不満に思ったことはないです」

「あんたってたまに格好いいな。オジサンも見習わないと」

「根に持ってますね……」

本気でオジサンだと思っているわけではない。その辺にいる同世代の男性よりもずっと、洗練されていて頼もしくって色気がある。

これは決して夫へのひいき目なんかじゃなく、一般的な意見だと思う。

……じゃなかったら、抱いてほしいなんて自分で言わなかったと思うし。

自分でも口にした通り、私は彼との結婚についてそこまで不満に思っていない。

< 84 / 257 >

この作品をシェア

pagetop