ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
ストイックに体を鍛えたいわけじゃない。ちょっと帳尻を合わせたいだけなのだ。

「お肉を一キロ分、お手軽に削りたいだけなんです」

「お前、わがまま自覚してるか?」

自分でもよく理解している分、彼の冷ややかな目が痛い。

「だったらプールにでも通ってみたらどうだ? 居住者専用のプールがあっただろ。筋トレよりは楽しいと思うぞ」

「プール、ですか」

確かに、黙々と筋トレをするよりは泳ぐ方が楽しそうだ。

プールにはまだ一度も行ったことがないが、どんな感じなのだろう?

近所の人と世間話とか、泳いだ後にお茶を一杯とかするのかな? 周りはみんなそこそこ年上の、身なりのいいお金持ちに違いない……ちょっと心細いな。

「康惺さんは行ったことがあるんですか?」

「ああ」

「どうでした?」

「プールには行かなくなり、自宅にトレーニングルームを作った。それが答えじゃないか?」

あんまりよくなかったってこと? 余計に心細くなってきた。

不安を煽る真似をしてさすがに申し訳なく思ったのか、彼はフォローするように「まあでも、あんたなら平気だろ」と言い添えた。

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