ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
巻き込まれないように踵を返そうとしたが、すかさず康惺さんが振り向き、私を視線でロックオンする。

「どうも、ご無沙汰してます。今日は妻も一緒で」

そう言って私のもとにくると、親しげに腰に手を回す。

逃げ道を塞がれてしまった……。もう作り笑顔で乗り切るしかない。

私は「主人がお世話になっております」と弱弱しい声を絞り出し、一応の挨拶を済ませた。

「あら~奥様といらしてたんですね~。仲が良さそうで羨ましい~」

こめかみを引きつらせながら私を睨んだあと、彼女は「御機嫌よう~」なんて優雅に微笑んでそそくさとプールサイドを去っていった。

「あー、助かった。これで今後は話しかけられずに済みそうだな」

清々しい顔で言う彼。

『あんたが多少協力してくれるなら』――今さらながらその意味が〝女避けになってくれ〟だったのだと理解する。

「あの女性に付きまとわれたから、プールを使わなくなったんですか?」

「あの人だけじゃないけどな。まあ、噂はすぐに伝わるだろうから、話しかけてくる女性も今後は減るだろう」

サンキュな、と言って私の肩をとんとん叩く彼。

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