ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「日中は運動で夜は勉強か。精が出るな」

康惺さんがマグカップをふたつ持ってやってくる。ひとつは自分の口もとに運び、もうひとつは参考書の横に置いた。

「ちゃーんとノンカフェインにしてやったぞ」

コーヒーミルの音と芳ばしい香りに気づいてはいたけれど、私のコーヒーを作ってくれていたのだと知り、胸の奥がちょっぴり温かくなる。

「ありがとうございます」

彼が私の手もとを覗き込む。参考書の表紙を確認し、パッと目を輝かせた。

「お、不動産鑑定士か」

不動産鑑定士試験――土地や建物の鑑定評価や不動産のコンサルティング業務をするときに役立つ資格である。

秘書である私に今すぐ必要な資格ではないが、今後も不動産業に携わっていくなら取っておいて損はない。

しかし、難関と名高いこの資格。合格者は年に二百人を切っていて、一次試験と二次試験を一発合格する割合は十パーセントに満たないと言われている。

「懐かしいな。俺も学生時代に受けたよ」

「結果は……」

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