ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「試験だけなら学生のうちに合格したな。実務修習は就職後だったが」

試験だけ、と軽く言われてしまったが、もちろん簡単にできることじゃない。

「すごいですね。私は宅建の試験で精一杯でした……」

「お、宅建は取ったんだな。偉い偉い」

彼に頭をぽんぽんと撫でられながら、いやいやと項垂れる。宅建と不動産鑑定士じゃ、難易度も必要な勉強量も全然違う。

「試験範囲、被ってるところあるだろ。宅建持ってる方が有利だぞ」

「はい、知識ゼロよりはマシですが……」

行政法規や民法は宅建で勉強した知識が使える。もちろん、一部使えるというだけで、覚えることは倍増だが。

「曲者なのが、経済学なんですよね」

暗記がものをいう会計学や鑑定理論と違って、経済学はほぼ数学だ。

……グラフとか微分の計算とか、苦手なんだよなあ。

条件をもとにグラフを起こし、読み解く力が問われる。こんなのどこで使うのかしらと思いながら勉強した高校の数学が、まさか必要とされる日が来るとは。

「文系か?」

「はい……康惺さんはどっちでしたか?」

「勉強なんて、やればなんでもできるだろ」

< 93 / 257 >

この作品をシェア

pagetop