ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
ああ、たまにいる規格外の人だ……。

学生時代に不動産鑑定士を取る時点で、学力が飛びぬけているのはなんとなく想像がつく。

「私の場合、経済学をきちんと身につけようとするなら、かなりの時間を使わないといけないんですが、点数の配分的に正直コスパが悪いんですよね。鑑定理論に集中した方がいいでしょうか?」

参考書のグラフをつつきながら唇を尖らせる。

それぞれの科目に配点が定められていて、鑑定理論の比重が圧倒的に大きい。

経済学を捨てて、その分の勉強時間をほかの科目に回した方が効率的ではないか。

康惺さんは正面の椅子に座り、微笑をたたえたまま私を覗き込む。

「あんたの目標はなんだ。不動産鑑定士になることか?」

「あ、いえ……鑑定士になりたい、というわけでは。不動産業に携わる者として、恥ずかしくない知識を身につけたいなと」

「だったら、ただ合格すればいいってわけじゃないよな?」

彼の言わんとしていることを理解して頬が熱くなる。

最終地点は資格の取得じゃない。不動産の知識を身に着けることだ。

経済学の基礎が不動産業に必要だから試験科目になっている。その理解を放棄したら本末転倒だ。

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