ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「まあ、単純に不動産価格の鑑定をしたいだけなら、経済学はいらないのかもしれない。だが、コンサルティングや運用、開発をしたいなら経済学は必要だ。市場の先読みができなきゃ話にならない」

「そう……ですね。楽をしようとしていた私が間違っていました」

「そもそも、足切りがあるだろ。ほかの科目がどんなによくても、経済学が基準点を下回れば落ちるぞ」

「あ」

肝心なことを忘れていた。結局、苦手科目も避けては通れないのだ。糸が切れたように参考書の上に突っ伏す。

「まあ、苦手科目で稼ごうとしなくていい。ある程度理解して、平均点を取れば」

「なんにせよ横着はせず、地道に努力しろってことですね」

「そういうのは得意だろ?」

ふと視線を上げると、ゆるりとした眼差しの彼がコーヒーを飲んでいた。

地道な努力が得意だなんて、これまで言った覚えはないけれど、まるで私の性格を見透かしたような口ぶりだ。

「どうしてわかるんです?」

「どれだけ一緒にいると思ってる?」

結婚してもうすぐ半年。でも、一緒に暮らし始めたのはこの二週間程度だ。

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