ふたつの時を、重ねていく【『ふたつの弧が、重なるとき』番外編/不定期更新中】
 ◇

 二次会へと向かうメンバーたちに元気よく別れを告げ、私は一人、まっすぐ最寄り駅へと帰ってきた。

「祥ちゃーん!」

 改札の前に立つ愛しい姿を見つけ、ブンブンと手を振りながら駆け寄る。
 そんな私の足取りを見て、祥ちゃんは呆れたようにフッと笑みをこぼした。

「またいっぱい飲んだでしょ」

「だってえ、勧められるんだもん」

 人目も気にせず、その胸にギュッと抱きついてしまう。
 並んで歩き出すと、いつものように腕を組んだ。

 アルコールでフワフワする頭を、彼の右肩にそっと乗せさせてもらう。

「……外でくっつきすぎじゃない?」

「寒いんだもんっ」

 静かな住宅街に入ると、二人の吐く息が白く染まるのが街灯に照らされてよく見えた。
 夜も遅い時間なので、少しだけ声をひそめる。

「今日もね、いっぱい祥ちゃんの自慢しちゃった」

 祥ちゃんは「また?」と小さく吹き出す。

「だってえ、聞かれるんだもん」

「……いつも、どういう顔で話してる?」

 覗き込みながら尋ねられた。

「え?」

「俺の自慢するとき。再現してみて」

 急にそんなことを言われ、「ん〜」と思い出しながら、にへらっと顔を作ってみせた。

「ぜーんぶ大好きなんですよお〜!」

 祥ちゃんはピタリと足を止め、私をまじまじと見つめた。

「…………ダメ」

 そして、真顔でそう言い放たれる。

「ええ? 祥ちゃんの自慢なのに、ダメなの!?」

「可愛すぎるから外でやるのはダメ。禁止」

「えーっ!」

 祥ちゃんがたまに出す独占欲。
 それについ舞い上がってしまい、冷たい夜道でも私の足取りは自然と弾んでしまうのだった。




―― 終 ――

読んでいただき、ありがとうございます!
また次の更新をお待ちくださいませm(._.)m
< 44 / 44 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:5

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
恋愛(学園)ランキングや、他サイトにてトレンドランキングにランクインしました。 ぜひ、お楽しみいただけたら嬉しいです。 ◆ 「――なんなんだよ、あれ。可愛いな」 こんなに好きなのに、彼女が見せてくるのは無邪気な笑顔ばかり。 十五歳の夏樹は、同じマンションの真上に住む幼馴染・めぐみへの長く重い片思いに苛々していた。 学校ではスマートなモテ男として通っている彼だが、その実態はめぐみのことで頭がいっぱいで、平静を保つことに必死。 彼女の一挙一動に、舞い上がりとネガティブを繰り返し、脳内会議で大騒ぎする『拗らせ男子』だった。 溢れんばかりの想いを抱えつつも、過去二度の盛大な勘違い失恋(と思っている)のせいで、すっかり慎重で臆病になっていた夏樹。 しかし、必死すぎる彼は気づいていない。 めぐみの方もまた、二度の小さな痛みを抱えていることに……!? 高等部で数年ぶりに同じクラスとなり、ついに恋のライバルたちまで登場。 焦りや嫉妬で涼しい顔を保てなくなっていく夏樹と、そんな彼に動揺させられるめぐみ。 二人の気持ちと物理的な距離は、急速に近づいていく――! 「……息ができないよ。なっちゃん」 「俺の目を見て言って。お願い」 三度目の正直となる切実なアプローチを経て、ついにその想いが実ったとき。 『幼馴染の顔』を忘れた二人のデレ甘モードは限界を突破する。 ◆ お互い二度の失恋(勘違い)を経て、結局はデレデレ甘々なハッピーエンドを迎える、幼馴染二人のいじらしい恋模様です。 表紙画像は、生成AIを使用し作成しています。 完結日:2026年5月24日
表紙を見る 表紙を閉じる
他サイトにて、恋愛ジャンルのランキングにランクインしました。 ぜひ、お楽しみいただけたら幸いです。 ◆ 中学生の頃、遠くから見ていた「君」が、突然目の前に現れた。 私にとって―― 孤独なマウンドで、まっすぐ前を見据え白球を投げ続ける彼。その凛とした背中は、プレッシャーに負けそうな自分に踏み切る勇気をくれる、特別な存在だった。 僕にとって―― 彼女はまさに「高嶺の花」だった。陸上部で軽やかにバーを越える彼女の屈託のない笑顔は、ただ見惚れることしかできない流れ星のようだった。 言葉を交わしたのは、たったの二回。 彼が肩を壊し、夢を絶たれた夏の夕暮れを最後に、交わるはずのなかった二人は――大学生になった春、東京の小さな居酒屋で偶然の再会を果たす。 あくまで「同郷の同級生」と想いを隠し、優しい友人でいようとする彼。 彼への絶対的な信頼と安心感が、いつしか「恋」へと色づいていくことに戸惑う彼女。 初めて出会う感情や、不器用なすれ違いを経て、やがて重なる二つの初恋。 甘い恋人同士となった二人は、想いを確かめ合いながら、一歩ずつ先へと進んでいく――。 ◆ 元エースピッチャーの彼と、走り高跳びの彼女。 あきれるほど一途な初恋と熱を、不器用に重ね合わせていく二人の純愛ロマンスです。 ▼ 番外編(一話完結形式) 『ふたつの時を、重ねていく』 https://www.no-ichigo.jp/book/n1782823 ◆ 表紙画像は、生成AIを使用し作成しています。 完結日:2026年5月27日
表紙を見る 表紙を閉じる
「……一体、なんだったんだあれは」 「もっと、知りたい」 我を失うほどの相性に、何度も引き寄せ合ってしまう。 長年付き合った彼氏に浮気され別れた私。 一人と深い関係を築くことを面倒に思う俺。 交わるはずのなかった同級生同士が、心よりも先に身体を重ねてしまい、たどり着いた先は――。 春の明け方、隙間なく並んで見た眺め。 彼の唇から漏れる吐息と、煙草の紫煙。 言葉より身体で恋に堕ちていく。 ◆ 完結しています。 少しでもお楽しみいただけたら嬉しいです。 ※表紙画像は、生成AIを使用し作成しています

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop