隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~


 ガラス越しに都心のきらびやかな夜景が一面に広がる、外資系ホテルの高層階。

 三ツ星のフレンチレストランで、昂輝は七井晶子とテーブルを挟んで向かい合っていた。

 通常であれば数ヶ月先まで予約が埋まる店だが、あらゆる人脈を駆使してこの個室をもぎ取った。

 七井百貨店との繋がりを繋ぎ止めるための、必死の接待だ。


「退店の要請を、お考え直しいただけませんか?」


 運ばれてきた華やかな料理。食事もそこそこに、昂輝は頭を下げた。

 晶子は、美しく盛り付けられた前菜を優雅に口へ運び、鈴を転がすような声で笑う。


「ひどいわ、昂輝さんったら。私とのお見合いは断るのに、お仕事の話は進めようだなんて」
「見合い? さあ、そんな話がありましたか?」


 昂輝の脳裏に、一昨年の記憶が微かによぎる。

 確か、叔父が知り合いのつてから持ってきた話だったと記憶している。

 『素敵なお嬢さんだ。御堂ジュエリーの助けにもなる、一度会ってみたらどうだ?』

 そんな話を持ってきたことがあった。


 仕事に打ち込み、余暇の時間は蒼乃を探し続けていた昂輝は、当然、時間の無駄だと一蹴した。

 七井側にどのような形で伝わっているのかは分からないが、互いの釣書を交わす段階に至る前に断っている。


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