隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
「こっちだよ!」
東京駅の改札を出ると、大きく手をふる昂輝が見えた。
新宿まで迎えにいく。
はじめ、彼はそう提案してくれたのだが、蒼乃は断った。
忙しい中遠回りをさせるのは申し訳なかったし、蒼乃にも土地勘がないわけではない。中央線に乗れば、すぐだ。
駆け寄る昂輝を見つめながら、蒼乃は高鳴る胸を抑えた。
初めて見る、スーツ姿。
寸分の狂いもなく彼の硬質な身体に仕立てられた、深い濃紺のスーツに、ピカピカに磨かれた革靴。
都会的で洗練された、近寄りがたいほどの輝きを放つ彼の佇まいは、まさに東京の第一線で生きる男の顔そのものだ。
今日のために、蒼乃も自分が持っている中で一番良いワンピースを着て来たのだが、彼の隣に立って良いものだろうか……。
「来てくれてありがとう。荷物持つよ」
昂輝はさっと、蒼乃の手からトランクを受けとると、もう片方の手でそっと手を繋いできた。
蒼乃の不安など消し去ってしまう。その、いつも通りの彼の優しさに、蒼乃はほっと胸をなでおろした。
約束のクリスマス。東京の街は息を呑むほどの光で満ち溢れていた。
高層ビルの最上階に近い、外資系の高級ホテル。
案内された部屋に足を踏みいた蒼乃は、足元から広がる絨毯のあまりの深さに戸惑いながらも、その洗練された雰囲気に、高まる高揚感を消せない。
「わぁ……!」