隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~


 部屋に入ると、蒼乃は大きく開かれた窓へと歩み寄った。


「すごい景色。宝石みたい」


 ガラスの向こうには、東京の夜景が底の見えない海のようになって広がっている。


「何の宝石?」


 背後から静かな足音が近づいたかと思うと、逞しい両腕が蒼乃の身体をそっと包み込んだ。


 ドキリ。


 心臓が、一度跳ねる。

 背後にいる昂輝にも伝わっただろう。彼は小さく笑うと、その顔を、蒼乃の肩に載せた。

 首元に昂輝の熱い吐息が触れ、耳元でもう一度、低く囁かれる。


「蒼乃の目には、何の宝石に見える?」
「……ラピスラズリ、と……タンザ、ナイト」


 蒼乃は、昂輝の胸に背中を預けたまま、かろうじてそれだけの言葉を絞り出す。


 青と紫の光が複雑に交差する都会の夜景は、まさにその二つの石を敷き詰めたように見えた。

 昂輝の大きな手が、蒼乃の肩から腕、そして腰へと、服の上からゆっくりと撫で下ろしていく。

 彼の掌から伝わる確かな熱に、蒼乃の息が自然と上がってしまう。

 胸の鼓動が早くなり、視界が熱さでかすんでいく。


「ねぇ、だめ。レストランの予約が……」


 ホテルのメインダイニングを彼が予約してくれている。遅れるわけにはいかないという焦りのなかで、蒼乃はかすかな抵抗を試みた。


「まだ少し、時間があるよ」


 昂輝の声は熱を帯び、逆らうことを許さないような深い響きを持っていた。

 彼は蒼乃の身体を優しく反転させ、まっすぐにその瞳を見つめてくる。

 そこにあるのは、どこまでもまっすぐで、蒼乃を片時も離したくないという強い独占欲だった。


 引き寄せられるままに唇が重なる。


 スマートで、けれど容赦のないほど深い彼の口づけに、蒼乃の思考はまたたく間に白く塗りつぶされてしまう。

 彼からの、ややストレートすぎる愛情表現に身を任せながら、蒼乃はしがみつくように、昂輝の大きな背に手を回した。









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