隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
年が明け、しばらく経った。
溢れるほどの幸福感を胸に抱いたまま新年を迎えた蒼乃は、いつにも増して、精力的に仕事に励んだ。
最近は、勤め先の工房でも、大きな金額の石を触らせてもらえるようになった。
『さすが匠さんの孫だ』
そう、褒めてもらう事が何より嬉しい。
蒼乃は、懸命に励んだ。
仕事が増えるにつれ、祖父の工房へ顔を出す日が少なくなった。
土曜日の今日も、本当なら昂輝と会う約束をしていた日だ。
しかし、仕事が立て込んでおり今週は行かれなさそうだと、連絡が来たのが昨日の夜。
ぽっかり予定が空いてしまったので、久々に祖父孝行でもしようと思い立ち、蒼乃は、及川工房へと顔を出すことにした。
「おはようございまーす」
ガラリと開けた工房の空気は、いつも以上に、ひどく静かだ。
「……お祖父ちゃん?」
作業台の前に座る祖父、及川匠の背中は、いつになく小さく、肩が不自然に落ちている。
机の上には、封筒が何枚も散らばっていた。
「お祖父ちゃん、どうしたの? その書類……」