隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
 御堂ジュエリー本社の重厚な応接室のドアを、昂輝は厳しい表情で押し開けた。


「どのようなご用件でしょう? あいにく、店舗開発の件で忙しくしております。手短にお願いします」


 机の奥、上座に悠然と腰を下ろしているのは、七井晶子だ。

 その隣では、昂輝の叔父である敦輝が、額に青筋を立てて顔を真っ青に強張らせている。


「ひどい言い草ね。あんなことしておいて」


 晶子は唇の両端を吊り上げ、計算し尽くされた歪んだ笑みを浮かべた。

 彼女の手元から、敦輝の前へと一枚の写真が滑るように差し出される。


 叔父で常務の敦輝が、その写真に視線を落とす。
 冷ややかな空気が流れた。


 あの夜。ホテルのエレベーターホールの写真だ。蒼乃に送られたものと同じだった。


「ね、ひどいでしょう、昂輝さんのおじさま。あの人、私を騙したんだわ」


 晶子はハンカチをそっと目元に当て、可憐な被害者を演じ始める。

 そのわざとらしい仕草に、昂輝の体内にはドッと苦い血が巡った。


 蒼乃を揺さぶるために撮られたのかと思っていたが、再び利用してくる彼女のしたたかさに唸り声を上げそうになる。

 が、ひとまずは、七井晶子の言葉を信じていそうな叔父をどうにかしなければならない。


「……叔父さん、違うんです」
「言い逃れするな、見苦しい!」


 敦輝は激昂し、写真を昂輝の目の前へと激しく叩きつけた。

 パシン。

 高い音が響く。


「七井家のお嬢さんに手を出したんだ。男らしく、今すぐ責任を取れ。御堂の名をこれ以上汚すつもりか!」
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